※この記事は2015年7月に書いたものを加筆・修正したものです。
デグーの飼育中に起きる事故は、どれもが重大な事故に繋がる可能性があります。
今回は「デグー飼育におけるハインリッヒの法則」と題して、飼育環境下で起こる様々な事象について記事にしたいと思います。
Contents
ハインリッヒの法則とは
ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒと言う人が、1929年の論文で主張した労働災害防止に関する統計です。
労働現場で発生した数多くの災害を調査して、「1:29:300」という法則を導き出しました。
1:29:300とは
1件の重大な事故・災害
29件の軽微な事故・災害
300件のヒヤリ・ハット
※「ヒヤリ・ハット」とは事故には至らなかったが、場合によっては事故になりうる可能性があった事象です。
「ヒヤリとした」「ハッとした」などが語源になっています。
この数値を三角形に表わして、氷山の一角という例えが出来ます。
氷山は水面上に現れているのはほんの一部で、大部分は水面の下に隠れています。
重大な事故の下には、必ず軽微な事故が隠れています。
その前触れとしてヒヤリ・ハットがあります。
重大事故の98%は事前に防ぐことが可能
ハインリッヒも「重大事故の98%は事前に防げる」と語っています。
いかなる重大事故も偶然に起きたものではなく、小さな予兆(ヒヤリ・ハット)に気を付けていれば必ず防ぐことが出来ます。
カイが扉の上に登り上のケージを覗きこんでいます。
この写真では、普段乗ってはいけないところに乗っているカイが、足を滑って落下する恐れがあるヒヤリ・ハットの例になりますね。
このハインリッヒの法則は現代の労働現場の安全管理の礎となっています。
私も会社での教育の一環としてこの法則を学びました。
勉強している際にも「この法則はデグー飼育にも活かせる」と感じており、ケージ内の環境整備に役立てています。
ハインリッヒの法則をデグーの飼育環境に当てはめる
まずは「1:29:300」をデグーに当てはめると
1=死亡事故
29=身体に影響を及ぼす事故(骨折などの怪我・不正咬合・尾切れ・熱中症)
300=怪我はしなかったが危ない瞬間
「1:29:300」に当てはめた例を見ていただくと、1は絶対に防がないといけない事故ですが、29も死に繋がってもおかしくない非常に危険な事故になります。
重大な事故の下には、必ず軽微な事故が隠れており、その前触れとしてヒヤリ・ハット(300)があります。ヒヤリ・ハットの例として
- ステージからの落下
- ケージのメッシュを直接登っていないか(ケージ内が移動しにくい可能性)
- 足取りが歩きにくそうにしていないか
(メッシュステージ・布製品の糸・ステージが齧られて小さくなっている等々) - 頻繁にケージ齧りを行っていないか
- ケージ内に食べてはいけないものが入っていないか
(ケーブル・柔らかいブラスチック製品) - 散歩させている場合、周囲の安全策はあるか
- 散歩中に目を離していないか
- 飼育環境の温湿度管理
ぱっと思いつくところを簡単に書きましたが、まだまだあるかと思います。

爪がかかるところがなく滑る
距離があって飛び上がる動作をすると、どうしても飛び移るのに失敗する可能性があります。
床材のクッションもあるので大丈夫であると思います。
しかし、100%とは言い切れません。
それが300のヒヤリハットにあたるのではないでしょうか。
そのため、事故を未然に防ぐためにステージの高さを調整する必要があると思います。

ヒヤリ・ハットから環境を整備し重大な事故を未然に防ぐ
ヒヤリ・ハットは「あっと」瞬間瞬間の事象を差すことが多いので、時が過ぎれば忘れてしまうことが多いため注意が必要ですね。
ヒヤリ・ハットは見つけるためには、観察することが大切
私自身、「観察」という言葉をよく使います。
デグーは当然ながら人の言葉を発しません。
意思を通じ合わせるには、デグーの動きや表情を見極めて、こちら側から感じ取ることが必要です。
飼育環境のヒヤリ・ハットを改善していけば事故は減りますし、デグーとしても快適な環境に繋がります。
デグーは飼い主のお宅にやってくれば、そこで一生を暮らすことになります。
ハインリッヒの法則を意識することにより、より良い飼育環境に繋がればと思い記事を書かせていただきました。